競馬騎手になるには?競馬学校の身長・体重条件や年収を解説【女性OK】

競馬の主役は競走馬だけではありません。
その馬に騎乗し、勝利へと導く 騎手 もまた、レースに欠かせない存在です。

騎手は、常に大きなレースでの勝利を夢見て、日々厳しい鍛錬を積んでいます。
そして、レースで勝利すれば 莫大な賞金、名誉、そして競馬史に名を刻む栄誉 を手にすることができるため、まさに花形職業といえるでしょう。

多くの人が憧れる騎手という世界。
「どうすれば騎手になれるのか?」と気になる方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、 一般人が騎手になるための条件 を詳しく解説します。

騎手を目指している方や、騎手になる条件に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください!

目次

競馬の騎手になるにはどうすればいい?女性も行ける?

競馬の騎手になる前に、日本の競馬には農林水産省が管轄の日本中央競馬界(JRA)と地方自治体が運営する地方競馬全国協会(NAR)というふたつの組織があります。

実は、このふたつの組織はそれぞれ独立しており、騎手になるための手順が異なります。

最初に騎手を目指す際はJRAもしくはNAR、どちらかの組織を選択したうえで騎手カリキュラムを行わなければならないのです。

ここからは、騎手になるための手順や条件をJRAとNAR、それぞれ2025年4月の入学を例に、解説していきます。

JRA(日本中央競馬界)の騎手になるには

JRAの騎手になるには下記の条件すべてに該当しなければなりません。

年齢①中学卒業以上の学歴があるもしくは同等以上の学力が認められている者②入学の年に15歳以上20歳未満の者
体重下記の年齢ごとに定められた体重以下のもの・2007年3月31日以前に出生した者⇒49kg・2007年4月1日から2008年3月31日の間に出生した者⇒48kg・2008年4月1日から2009年3月31日の間に出生した者⇒47kg・2009年4月1日以降に出生した者⇒46kg
視力両眼で0.8以上、かつ左右ともに0.5以上※矯正器具はコンタクトレンズのみ使用可能
色別力聴力健康騎手の業務を行う上で支障がない者
その他以下すべてに該当する者・精神機能が適正・認知、判断能力が適切・破産者ではない・禁錮以上の刑に処されていない・競馬法・日本中央競馬会法・自動車競技法・小型自動車競走法又はモーターボード競走法に違反していない・競馬の関与が禁止されていない・暴力団関係に携わっていない

NAR(地方競馬全国協会)の騎手になるには

NARの騎手になるには下記の項目すべてに該当しなければなりません。

年齢①中学卒業見込みがあるもの②令和7年4月1日現在で20歳以下の者
体重下記の年齢ごとに定められた体重以下のもの・2009年10月1日~2010年4月1日の間に生まれた者⇒45kg・2009年4月2日~2009年9月30日の間に生まれた者⇒45.5kg・2008年10月1日~2009年4月1日の間に生まれた者⇒46kg・2008年4月1日~2008年9月30日の間に生まれた者⇒46.5kg・2004年4月2日~2008年4月1日の間に生まれた者⇒47.0kg
視力左右いずれか一眼が0.5以下でない者※矯正器具はコンタクトレンズのみ使用可能
色別力聴力健康騎手の業務を行う上で支障がない者
その他以下すべてに該当する者・精神機能が適正・認知、判断能力が適切・破産者ではない・禁錮以上の刑に処されていない・競馬法・日本中央競馬会法・自動車競技法・小型自動車競走法又はモーターボード競走法に違反していない

年齢・体重・視力に規程はあるものの、身長制限はない

JRAとNARの募集要項は内容に若干の違いがあるものの、基本的には年齢・体重・視力が問われています。

この中でとくに重要なのが年齢と体重です。

年齢規程はJRA・NARともに15歳以上20歳未満と設定されており、20歳を超えていたら騎手になることはできません。

体重は生年月日によって若干変化はありますが、JRAの場合は49kg以上、NARの場合は47kgを超えていたら受験資格はありません。

15歳から20未満の男性で体重40kg台の人はほとんどいないので、よっぽど体格に恵まれていないと騎手になることはできないのです。

なお、視力に関しては、かつては矯正器具が使えなかったので裸眼で条件を達成しなければなりませんでした。

そのため、年齢や体重同様規程のハードルが高かったのですが、令和3年の募集改正に伴い、コンタクトレンズのみ使用可能となっています。

身体的な条件はこの3つがメインで、意外にも身長の条件はありません。

極端な話、身長180cm以上の人でも年齢と視力の条件を満たしており、体重が45kgなら騎手になれるのです。

騎手といったら小さいイメージがありますが、騎手の代名詞的存在である武豊騎手は身長170cm、弟の武幸四郎元騎手は177cmもありました。

高身長の騎手は多くないですが、武兄弟はどちらも高身長ながら大舞台で結果を残し、数々のG1タイトルを手にしているのです。

性別不問で女性も騎手になれる

競馬の騎手になる条件でもう一つ覚えておきたいのが「性別不問」という点です。

競馬界といったら完全な男社会のイメージがありますが、実は女性も騎手になることができます。

女性騎手としての地位を高めたのが2016年にデビューした藤田菜七子騎手です。

藤田菜七子騎手はデビュー3年目にして通算勝利35勝を達成し、JRA女性騎手最多勝利記録を更新しました。

また、2019年12月に開催されたカペラステークスをコパノキッキングのコンビで勝利し、JRA史上初となる女性騎手の重賞制覇も成し遂げています。

藤田菜七子騎手の活躍を見てデビューを志した女性騎手も多く、2024年時点で7名の女性がJRAに在籍しています。

なお、NARでも多くの女性が活躍しており、現在は男女問わずターフでしのぎを削っているのです。

JRA騎手は「競馬学校」、地方騎手は「地方競馬教養センター」に入る

JRAの騎手を目指す人はJRAが運営する「競馬学校」に、NARの騎手を目指す人は「地方競馬教養センター」に入所しなければなりません。

どちらも職業訓練校のようなもので、基本的な馬術の訓練や競走訓練、競馬場の実習などを行います。

ちなみに、競馬学校は3年間、地方競馬教養センターは2年間在籍します。

2~3年のカリキュラムをクリアしたら卒業しますが、最後に騎手になるためには騎手免許を取得しなければなりません。

自動車教習所を卒業しただけでは運転免許は取得できませんが、騎手免許も同じようなものと考えていただいたらいいでしょう。

騎手免許試験では筆記試験や口頭試験、騎乗技術試験などがあり、規程の点数(60点以上)以上で合格です。

ちなみに、騎手免許試験の合格率はほぼ100%といわれており、騎手を目指す者からしたら騎手免許を得るための通過儀礼のようなものとなっています。

競馬騎手の年収は?

騎手の魅力といえば、国内外で開催されているビッグレースを制したり、競馬を通して栄光を得るなど、やりがいがたくさんあります。

その中でも特に気になるのが騎手の年収でしょう。

ここからは、騎手の年収がいったいどれくらいなのか解説していきます。

JRA騎手の平均年収は1,000万円、地方騎手は300~500万円

日本の競馬騎手はJRAとNARの2種類が存在していますが、実は所属元に応じて年収は変わります。

JRAの騎手の場合、平均年収は1,000万円、NARの騎手は300万円から500万円といわれています。

JRA騎手のほうが年収が高いのです。

どうして、これほど年収に差があるかというと、単純にレースの賞金に違いがあるからです。

騎手はレースで5着以内に入線すると、設定された賞金額の5%が得られます。

この賞金額がJRAとNARでは全く異なるのです。

例えば、JRAの新馬戦の1着賞金は2024年の時点で720万円に設定されています。

ところが、地方大井競馬場の新馬戦における1着賞金は450万円です。

また、地方競馬の中でもローカルといわれている笠松や高知、佐賀競馬になるとさらに賞金が低く、JRAと比較するとその差は歴然なのです。

レースの賞金の違いがJRAとNAR騎手の年収に影響を及ぼしているのでした。

一流騎手の年収は1億を超える

JRA騎手の中の中でも数多くのビッグレースを勝利している一流騎手はさらに1,000万円以上の年収を手にしています。

2023年のJRAジョッキーの個人獲得賞金額は下記の通りです。

順位騎手名推定年収
1位C.ルメール約2億5,000万円
2位川田将雅約1億8,000万円
3位横山武史約1億4,000万円
4位松山弘平約1億3,000万円
5位岩田望来約1億2,000万円
6位戸崎圭太約1億1,000万円
7位坂井瑠星約1億円
8位西村淳也約1億円
9位鮫島克駿約9,000万円
10位武豊約8,000万円

いずれもJRA騎手の中でもトップクラスの実力を持っている人ばかりですが、C.ルメール騎手や川田将雅騎手のように、リーディング上位騎手になると年収1億円以上稼いでいました。

競馬騎手の給料の仕組み

競馬騎手の収入はレースに勝つことで得られますが、実はそれ以外にもいくつかの収入源があり、それらをトータルしたものが騎手の給料となっています。

ここからは、騎手の給料のメインとなる4つの仕組みについて紹介します。

進上金

進上金(しんじょうきん)とは、レースで上位に入線した時に得られる賞金のことです。

レースの賞金は80%が競走馬の馬主(オーナー)に、10%が競走馬を管理する調教師に、残りの10%のうちの5%が騎手と厩務員で分配されます。

(障害騎手の場合、騎手の取り分は7%です。)

2023年の有馬記念を例に解説してみます。

2023年の有馬記念は前年のダービー馬ドウデュースが勝利しました。

この年の有馬記念は1着の賞金が5億円で、ドウデュースのオーナーはキーファーズ、管理するのは友道康夫調教師、そして、騎乗していたのは武豊騎手です。

5億円の賞金の内の80%にあたる4億円が馬主のキーファーズに入り、10%にあたる5,000万円が管理する調教師の手元に、そして、5%にあたる2,500万円が武豊騎手の給料となります。

騎乗手当

騎乗手当とは、レースに騎乗した騎手に対し、支払われる手当です。

2024年のJRAにおける騎乗手当は下記の通りです。


平場競走
G1競走64,500円
G1以外の重賞競走44,500円
非重賞競走27,500円

障害競走
J・G1競走146,500円
J・G1以外の重賞競走116,500円
非重賞競走86,500円

グレードの高いレースほど手当が大きくなります。

なお、JRAではよっぽどのことがない限り1会場で12レース開催されていますが、もしも1レースから12レースまですべて騎乗できたら騎乗手当だけで1日40万円近く得られます。

ただ、オーナーや調教師に認められないと騎乗依頼は来ないので、毎日多くのレースに騎乗できるということは、それだけ実力が認められている証拠といえるでしょう。

ちなみに、障害競走は平場競走と比較すると騎乗手当が倍以上あります。

これは、障害競走は平場競走よりも落馬のリスクが大きいことと、障害競走が1日1~2レースしかないため、障害騎手の収入を安定させるために高く設定されているのです。

騎乗契約料

騎手の中には特定の厩舎に所属している人もいます。

厩舎によってはレースで騎乗した際の契約料を設定しているところもあり、レース結果や騎乗数に応じて設定された金額を給料として支払っている場合もあります。

なお、フリーの騎手は厩舎に所属していないため、騎乗契約料は発生しません。

調教料

調教料とは、水曜日や木曜日に行う追い切りに騎乗した際に支払われる金額です。

厩舎に所属していないフリーの騎手に支払われる場合が多いですが、調教料は1回あたり千円台で、進上金や騎乗手当と比べると大した金額ではありません。

競馬騎手:まとめ

今回は競馬騎手になるための条件や要綱、さらに競馬騎手の年収についてまとめました。

競馬騎手は夢のある職業ですが、騎手になるには年齢や体重などの課題をクリアしなければなりません。

また、競馬学校や地方競馬教養センターも養成課程が厳しく、退学者も珍しくないようです。

さらに、厳しい課程を突破して騎手免許を取得した後も、レースで活躍しなければ賞金は得られません。

騎手で安定するのは非常に難しいのです。

それでも、騎手という職業は一握りの人間しか手にすることができない莫大な賞金と永久に残る栄光が手に入ります。

そのため、多くの人が騎手を志していますよ。

もしも、年齢や体格が騎手に向いているようで、なおかつ騎手に興味がある方はぜひ一度騎手課程を調べてみてはいかがでしょうか。

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